相続用語辞典

    • 保証債務

      本来の債務者(主債務者)が債務を弁済しない場合に、第三者(保証人)が債権者に対して主債務者と同一内容の履行を行う債務をいう。保証債務は民法上の相続財産として、相続開始と同時に法定相続分に従って相続人に当然分割されるが、相続税法上は債務控除の対象とはならない。

    • 配偶者の税額軽減の特例
      (はいぐうしゃのぜいがくけいげんのとくれい)

      被相続人の財産形成に貢献している点などを考慮し、配偶者の相続税額を軽減する制度。これにより配偶者は、法定相続分もしくは課税価格1億6,000万円までの財産を相続しても相続税は課税されないことになる。婚姻期間の長短は関係なく、相続開始時の戸籍上の配偶者に適用される。

    • 配偶者への居住用財産の贈与
      (はいぐうしゃへのきょじゅうようざいさんのぞうよ)

      通称「おしどり贈与」と呼ばれる贈与。婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、一定の要件を満たす居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、贈与税の計算上、基礎控除110万円の他に最高2000万円まで控除が出来る制度。

    • 配偶者の税額の軽減
      (はいぐうしゃへのぜいがくのけいげん)

      被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、次のどちらか多い金額までは配偶者に相続税がかからないという制度。

      (1) 1億6000万円
      (2) 配偶者の法定相続分相当額

      適用要件①:相続税の申告期限までに遺産分割が完了していること
      適用要件②:税額軽減規定適用の申告をしていること

    • 廃除
      (はいじょ)

      被相続人が遺留分を有する推定相続人の相続権を剥奪する制度。相続権を剥奪されると財産を相続することができなくなる。廃除の方法として、被相続人が生前に家庭裁判所に請求する場合と、遺言によって廃除する場合の2つの方法がある。遺言で廃除をする場合は必ず遺言執行者を選任する必要がある。仮に選任していない場合、他の相続人が相続人廃除の請求をすることはできない。いずれの場合も廃除が認められる要件として、被相続人に対する虐待、重大な侮辱又は著しい非行のいずれかが必要になる。仮に廃除ができた場合でも、推定相続人の直系卑属ががいればその者が代襲相続人になる。

      例)子供を廃除。その子供に孫がいる場合は、孫が代襲相続人となる。

    • 廃除
      (はいじょ)

      特定の相続人に相続させることがどうしても許せないと考えるような事情がある場合に、被相続人が家庭裁判所に請求して、審判または調停によってその相続人の相続権を失わせる制度。遺言による廃除請求も可能。ただし、廃除される相続人は「遺留分のある推定相続人」に限られる。廃除事由は以下の2つ。

      1. 被相続人に対する虐待・侮辱
      2. 推定相続人の著しい非行
      関連ページ :
      相続欠格・廃除
    • 倍率方式
      (ばいりつほうしき)

      市街地的形態を形成する地域以外にある宅地を評価する方法。固定資産税評価額にその地域ごとに国税局長が定める倍率を乗じて計算した金額によって評価。倍率は、各国税局または所轄の税務署に置いてある評価倍率表に載っている。

      倍率方式による宅地の評価額=固定資産税評価額×国税局長の定める倍率

    • 倍率方式
      (ばいりつほうしき)

      市街地的形態を形成する地域以外にある宅地を評価する方法。固定資産税評価額にその地域ごとに国税局長が定める倍率を乗じて計算した金額によって評価。倍率は、各国税局または所轄の税務署に置いてある評価倍率表に載っている。

      倍率方式による宅地の評価額=固定資産税評価額×国税局長の定める倍率

    • 倍率方式
      (ばいりつほうしき)

      土地の相続税評価の方法の一つ。路線価が定められていない地域の評価方法で、その土地の固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて計算する。

    • 非課税財産
      (ひかぜいざいさん)

      相続税がかからない財産のこと。墓地や墓石、仏壇、仏具など日常礼拝をしている物。生命保険金や死亡退職金のうち法定相続人数×500万円に相当する非課税枠の部分。国や地方公共団体への寄付などがある。

    • 非課税財産(相続税)
      (ひかぜいざいさん(そうぞくぜい))

      次のものを相続税の非課税財産と定めている。

      (ア)墓地、仏壇、仏具(日常礼拝の用に供するもの)

      (イ)死亡保険金のうち一定額
      相続人が受取った死亡保険金のうち次の額までは非課税とされている 非課税金額=500万円×法定相続人の数 複数の相続人が死亡保険金を受取った場合は、各相続人が適用を受けることができる非課税金額は、非課税金額の総額を各相続人が受け取った死亡保険金の割合で按分して計算する。ただし、養子の数の制限を受ける。また、相続放棄した者が死亡保険金を受取った場合には、非課税の適用は受けられない。

      (ウ)死亡退職金のうちの一定額
      相続人が受取った死亡退職金は、死亡保険金と同様に次の額までは非課税となる。 非課税金額=500万円×法定相続人の数 複数の相続人が死亡退職金を受取った場合の各相続人の非課税金額や、法定相続人の数については、死亡保険金の非課税の取扱いと同じ。

      (エ)弔慰金等
      被相続人の死亡により相続人その他の者が被相続人の勤務していた会社から受取る弔慰金、花輪代、葬祭料等については、次に掲げる金額を弔慰金等に該当する金額として取扱い、非課税とされる。なお、この金額を超える部分がある場合には、その超えた部分については死亡退職金等に該当するものとして取扱う。

      弔慰金の非課税枠
      a.被相続人が業務上で死亡した場合 被相続人の死亡時の普通給与×36ヶ月分
      b.被相続人が業務以外で死亡した場合 被相続人の死亡時の普通給与×6ヶ月分

      (オ)国、地方公共団体等へ寄付をした場合の一定要件を満たす財産
      相続または遺贈により財産を取得した者が、相続税の申告期限までに国、地方公共団体、特定の公益法人等に対して一定要件を満たす相続財産の寄付をした場合には、その寄付した財産は相続税計算上課税財産に含めないこととされる。
    • 非課税財産(贈与税)
      (ひかぜいざいさん(ぞうよぜい))

      贈与税の非課税財産は次のように定められている。

      (ア)法人からの贈与により取得した財産(所得税・住民税の対象となる) (イ)扶養義務者から贈与を受けた生活費、教育費 (ウ)宗教・慈善・学術その他公益を目的とする事業を行う者が贈与により取得した財産で、公益事業に供することが確実なもの(財産を取得したときから2年以内に公益事業の用に供した場合に限る) (エ)その他 a.社交上必要と認められる香典、贈答、見舞い、祝物など b.相続開始年に被相続人から贈与を受けた財産(相続税の対象となるものに限る) c.特別障害者扶養信託契約に基づく信託受益権 d.公職選挙法上の選挙における候補者が選挙運動に関して贈与により取得した財産 e.心身障害者共済制度に基づく給付金の受給権 f.一定の特定公益信託から交付を受ける金品

      なお、離婚による財産分与によって取得した財産は、原則として贈与により取得した財産とはならない。

    • 非嫡出子
      (ひちゃくしゅつし)

      婚姻外で生まれた子。非嫡出子の相続分は、嫡出子(戸籍上の妻との間に生まれた子)の相続分と同等となる。なお、非嫡出子であっても認知されていなければ、相続権はない。

    • 秘密証書遺言
      (ひみつしょうしょゆいごん)

      自筆証書遺言と公正証書遺言の中間的なもので、遺言書の存在は明かしつつ、内容を秘密にして偽造、隠匿等を防止する遺言。 その作成方法は以下の通り。

      (ア)遺言内容を適当な用紙に記載する。代筆・ワープロによる作成でも可。最後に遺言者が署名・押印する。 (イ)遺言書書面を封筒に入れ、遺言者が封印する。 (ウ)封印した遺言書を公証役場へ持参し、遺言者が公証人と証人2名の前で自己の遺言書である旨、及び住所・氏名を申述する。口がきけない人の場合は、「通訳人の通訳」により申述し、または封書に自署して申述に代えなければならない。 (エ)公証人が日付等を封紙に記入した後、遺言者・証人共に封紙に署名・押印する。

    • 付言
      (ふげん)

      「付言」とは、遺族に残すメッセージで法律上の効果は発生しない。しかし自分がどのような意図で遺言書を書いたかを示すことができる。

      例)「みんなのおかげで、私は幸せな人生をおくることができた。私の財産については、いろいろと考えて遺言書のような分け方を決めたので、どうか理解してほしい。お母さんを大事にして、兄弟仲良く暮らしてほしいと思っている。」

      付言があることによって、遺言者の意思が尊重され、結果的に財産分けでもめなくなる可能性もある。

    • 不在者財産管理人
      (ふざいしゃざいさんかんりにん)

      行方不明など、容易に戻る見込みのない者(不在者)に財産管理人がいない場合、その不在者の財産管理を行う人のこと。利害関係者からの請求により、家庭裁判所が不在者財産管理人を選任する。例えば、行方不明者が相続人である場合、行方不明者が参加せずに行った遺産分割協議は無効となる。その場合、家庭裁判所に不在者財産管理人を選任してもらい遺産分割協議に参加してもらう必要がある。家庭裁判所により選任された不在者財産管理人は、本人の利益を守る必要がある。従って法定相続分を下回る遺産分割協議案については家庭裁判所は原則許可することはない。

    • 負担付遺贈
      (ふたんつきいぞう)

      負担付遺贈とは、遺贈者が受遺者に対して、財産をあげる代わりに、受遺者に一定の義務を負担させる遺贈のこと。例えば、「自宅を遺贈する代わりに、母親に対して生活費を毎月2万円払うこと」というもの。負担付遺贈の範囲は、受遺者の不利益を回避するため、遺贈の目的の価額を超えない限度内で、負担した義務を履行する責任を負うものとされている。受遺者には、遺贈を放棄、承認するかを自由に選択できる権利がある。

    • 負担付贈与
      (ふたんつきぞうよ)

      負担付贈与とは、受贈者に一定の債務を負担させることを条件にした財産の贈与のこと。例えば、「自宅を贈与する代わりに、自宅の借入金も負担すること」というもの。実際に贈与するには銀行等の借入金融機関の承諾が必要になる。また税金上注意する点もある。贈与を受けた側にかかる贈与税だけではなく、贈与した側に譲渡所得税がかかる可能性もある。その他に、不動産は通常相続税評価額を用いるが、負担付贈与の場合は時価評価になる為、評価額が高くなる可能性がある。

    • 普通失踪宣告
      (ふつうしっそうせんこく)

      不在者の生死が7年間明らかでないとき、裁判上死亡したものとみなす制度。利害関係人から請求することができる。一般的に配偶者や推定相続人などがこれにあたる。不在期間が7年間継続すると法律上死亡したものとみなされる為、婚姻の解消や相続の開始、死亡保険金の請求など各種手続きを進めることができる。

    • 普通方式遺言
      (ふつうほうしきゆいごん)

      民法上の遺言の方式の一つ。自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類がある。一方で特別方式遺言という遺言とは、特別な状況でやむをえない場合にのみ使われる遺言で、死亡危急者の遺言、船舶遭難者の遺言、在船者の遺言、伝染病隔離者の遺言の4種類がある。

    • 普通養子
      (ふつうようし)

      親子関係がない者同士に法律上、親子関係を発生させるもの。普通養子は実親との親子関係を継続させながら養親とも親子関係が継続する。つまり実親、養親の両方から相続を受けることができる。また子供を連れて再婚した場合、再婚相手と子供が養子縁組をしていない限り、子供は再婚相手から相続を受けることはできない。

    • 物納
      (ぶつのう)

      相続税を一括納付や延納によって金銭で納付することができない場合に限って、その困難とする金額を限度に相続財産そのもので納めることが認められる。これを物納という。要件としては、申告期限までに物納申請書および物納財産に応じた必要書類を提出すること、物納適格財産であること、等が挙げられる。なお、物納は相続税だけに認められており、また、相続人が以前から保有していた財産は物納できないこととなっている。

    • 物納財産の収納価額
      (ぶつのうざいさんのしゅうのうかがく)

      物納財産の収納価額(国が引き取る価格)は、原則として、相続税の課税価格の計算の基礎となった相続税評価額となる(小規模宅地等の評価減の特例を受けた土地を物納する場合は、当該特例適用後の価額。物納した場合に収納価額が取得価額を上回っていたとしても計算上の売却利益に対する所得税・住民税の課税はない。

    • 物納適格財産
      (ぶつのうてきかくざいさん)

      物納できる財産は、相続によって引継いだ日本国内にあるものに限られており、かつ順位も下記の通り決められている。

      第1順位 不動産、船舶、国債証券、地方債証券、上場株式等※1
      第2順位 非上場株式等※2
      第3順位 動産

      ※1、2 特別の法律により法人の発行する債券及び出資証券を含み、短期社債等を除く。

      なお、上記の財産であっても、質権等の担保権の目的となっている財産や、所有権の帰属について係争中の財産、共有となっている財産(ただし共有者全員が物納する場合は除く)については、物納は認められない。

    • 包括遺贈 (ほうかついぞう)

      遺贈の方法のうちの一つ。遺言の記載方法として、相続財産を割合によって指定すること。例えば、二分の一を妻、四分の一を長男、四分の一を次男という方法。遺贈者に借金などの負の財産などがあれば、それも含めて割合で引き受けることになる。

    • 法定後見制度 (ほうていこうけんせいど)

      成年後見制度のうちの一つ。本人の判断能力が不十分になった際、家庭裁判所に申し立てることにより本人に代わり財産管理などをする法定後見人を選任する。目的は本人の財産を保護ための制度。本人の判断能力の程度により「後見」「保佐」「補助」に分けられる。例えば、遺産分割協議をする際、相続人の中に認知症の方がいる場合は法定後見人を選任し遺産分割協議に参加してもらう必要がある。その場合、家庭裁判所により選任された法定後見人は、本人の利益を守る必要がある。従って法定相続分を下回る遺産分割協議案については家庭裁判所は原則許可することはない。

    • 法定相続人
      (ほうていそうぞくにん)

      民法で定められた、相続人になれる人の範囲。被相続人の配偶者と、被相続人の血族関係者で一定の者があり、血族関係者は相続人になる順位が決まってる。

      • 配偶者相続人・・・戸籍上婚姻関係にある配偶者は常に相続人となる(内縁関係にある者は該当せず)
      • 血族相続人・・・次の順で相続人になる順位が決まっている
        1. 被相続人の子供、孫など『直系卑属』
        2. 被相続人の父母、祖父母など『直系尊属』
        3. 被相続人の兄弟姉妹
    • 法定相続分
      (ほうていそうぞくぶん)

      民法で定められている、相続財産の分け方の一応の基準となる相続割合のこと。

      • 配偶者と子供が相続人である場合
        配偶者1/2 子供(2人以上のときは全員で)1/2
      • 配偶者と直系尊属が相続人である場合
        配偶者2/3 直系尊属(2人以上のときは全員で)1/3
      • 配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合
        配偶者3/4 兄弟姉妹(2人以上のときは全員で)1/4

      子供、直系尊属、兄弟姉妹がそれぞれ2人以上いるときは、原則として均等に分ける。
      民法に定める法定相続分は、相続人の間で遺産分割の合意ができなかったときの遺産の取り分であり、必ずこの相続分で遺産の分割をしなければならないわけではない。

    • 本来の財産
      (ほんらいのざいさん)

      民法の規定に従って相続等により取得する財産を言う。土地、借地権、建物、預貯金、有価証券、ゴルフ会員権、宝石、家庭用財産など、金銭に見積もることが可能なものは、全て相続税の対象となる。借地権、建物等は登記の有無に関係ない。また、生命保険契約に関する権利も、本来の財産となる。