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【公正証書遺言とは】

2024.10.20

第1、 遺言公正証書とは

 

「遺言公正証書」は、公証人が公正証書に基づいて作成した遺言をいいます。公証人は、元裁判官、元検察官等が務めています。

 

第2、公正証書遺言のメリット

 

遺言には、自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言等がありますが、自筆証書遺言と比較して公正証書遺言にはどのようなメリットがあるでしょうか。

確かに、自筆証書遺言の場合は、手軽に作成でき、費用もかかりません。

しかし、自筆証書遺言は、遺言の日付や、押印がないと遺言が無効になってしまうリスクがあります。

これに対して、公正証書遺言の場合は、原案を公証人に事前にチェックしてもらって作成するので、自筆証書遺言のように遺言の年月日が入っていないなどという形式要件が欠けて遺言が無効になるリスクはありません。

また、自筆証書遺言の場合は、遺言の紛失・偽造のリスクがあります(ただ、自筆証書遺言も法務局へ預ける保管制度ができたのでこれを利用すれば紛失偽造のリスクは回避できます)。これに対して、公正証書遺言は原本が公証役場に保管されるので遺言が紛失したり、偽造されるリスクはありません。

自筆証書遺言等の場合は、相続開始後に自筆証書遺言を発見した相続人が家庭裁判所に検認の手続きの申し立てをして、遺言の存在等の確認をする必要があります。しかし、公正証書遺言の場合は、自筆証書遺言等のように家庭裁判所に検認の申し立てをする必要はありません。

また、公正証書遺言においては、元裁判官などの公証人のもとで作成されるので、自筆証書遺言などと比べて遺言が無効になる可能性が少なくなります。

例えば、高齢の方が作成した遺言においては、遺言作成当時、高齢で認知症があり、判断能力(遺言能力)がなく、遺言が無効でないかとして、遺言の有効性が裁判で争われることがあります。この場合も、自筆証書遺言と比べて、元裁判官などの公証人が遺言作成者本人に名前等などを質問して回答をさせるなどして判断能力(遺言能力)があるかを面談確認したうえで公正証書遺言を作成するので、判断能力(遺言能力)が欠いているとして遺言が無効になることが自筆証書遺言と比較して少ないというメリットがあります。

 

第3、公正証書遺言のデメリット

 

公正証書遺言のデメリットとしては、自筆証書遺言の場合と異なり、遺言作成の手数料等の費用がかかるということがあります。しかし、公正証書遺言の作成の費用は、遺産の金額等により異なりますが、よほど遺産が高額でない限りは、公証役場への費用は通常数万円程度でおさまる場合が多いですので、一定の費用はかかりますが、そこまで高額な必要を負担する必要はありません(5000万円超~1億円以下で手数料4万3000円程度)。

また、公正証書遺言を作成する場所は原則として公証役場へ行かなければいけないなどが面倒であるというデメリットがあります。しかし、高齢や病気で公証役場を訪れるのが困難なときは、公証人が病院・自宅等に出張して作成することも可能です。

また、公正証書遺言を作成するときは証人2名が必要であり、推定相続人等は証人となることができず、証人2名の確保が必要ということがデメリットとして考えられます。ただ、この点も、証人になってくれる知人などがいない人なども公証役場で証人を紹介してもらえるので、公正証書遺言は作成することが可能です。

 

第4、小括

 

以上のとおり、公正証書遺言のほうが自筆証書遺言よりメリットが大きく、デメリットは少ないので、遺産が高額な場合、遺言者が高齢などで後日遺言の効力が争われるリスクが高い場合などは、後日遺言が無効にならないように、自筆証書遺言等ではなく、公正証書遺言で遺言を作成すべきと考えます。

 

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柳沢 賢二
柳沢法律事務所
弁護士

一、弁護士として、依頼者のために、一つ、一つの案件について、専門家としての①専門性の高いサービスを、②迅速に提供することを心がけています。そして、常に依頼者のために、一つ一つの案件を全力で取り組んでいきます。

二、今、高齢者社会において、相続の問題は誰もが直面する重要な問題だと思います。今までの自分の人生の集大成を納得のいく形で終えれるように、残された家族の方々が困らないように、専門家として皆様の力になれる適切な解決方法の提案やアドバイスをしていきたいと思います。

三、相続の分野でも、紛争後の裁判所での訴訟業務だけでなく、紛争を事前に防ぐ予防法務的な視点から、遺言書の作成、任意後見・成年後見の活用、事業承継のアドバイスなどにも力をいれ、皆様の力になれるアドバイスをしていきたいと思っています。