相続レポート

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相続放棄を考えているけれど・・・・

2010.09.01

【ご相談内容】
1ヶ月前に私の母が亡くなりました。私は母が亡くなる前と後に母名義の預金口座から現金を下ろしており、その金額は合計で500万円弱です。
いろいろと事情があって、私は相続放棄をしたいと思っています。このような状況で放棄することは可能でしょうか。
また、私は母名義で借りている賃貸住宅に母と二人で住んでおり、母の死後もそこに一人で住んでいます。このまま住み続けていたら、相続放棄が認められなくなるのでしょうか?もし退去しなければならないとすると、あとどれくらい住んでいられるのでしょうか?

 

【回答】
相続放棄を希望する場合、相続の発生を知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申し立てる必要があります。しかし、3ヶ月という法定期間を過ぎた場合や相続財産の全部または一部を処分した場合は、単純承認したものとみなされ相続放棄をすることができません(ただし、遺産の調査に時間がかかる場合などは、裁判所に申し立てることで法定期間を延長してもらえる可能性があります)。
したがって、相続放棄を考えている相続人は、被相続人の預貯金などには一切手を付けないようにするのが基本です。あなたの場合は、既に相続財産の一部を処分している状況と言えますから、相続放棄は難しいと考えるのが一般的でしょう。
しかし、引き出したお金の使途によっては、相続放棄が認められる可能性もあります。例えば、被相続人の預金を葬儀費用や仏壇・墓石の購入費の一部に充てたような場合は前記の処分には該当せず、法定期間内であれば相続放棄できるとされます。具体的なことは、管轄の家庭裁判所へお尋ねになってみることをお勧めします。

また、現在お住まいの賃貸住宅についてですが、賃借人としての地位も相続財産の一つです。あなたがそのまま居続ければ相続することを単純承認したことになりますので、相続放棄をするつもりであれば速やかに退去しなければなりません。
退去に際して敷金の全部又は一部が返還されるケースでも、相続放棄をした相続人には当然受取る権利はありません。亡くなった方の家財についても、一部でもあなたが引き取ってしまえば、相続放棄が認められなくなる場合があります(ただし、軽微な慣習上の形見分け程度のものであれば問題無いでしょう)。
あなたが相続放棄をすることによって他に相続人となる人がいる場合は、その人が賃貸借に関する全ての権利義務を承継します。他の相続人が誰もいなければ、連帯保証人が全ての義務を負います。
もしあなた自身が連帯保証人になっているのであれば、例え相続放棄をしたとしても、“連帯保証人としての義務”からは逃れることはできません。相続放棄をすれば被相続人の権利義務を負う必要がないため、連帯保証人としての義務もなくなるのではないかと誤解をされる方もいらっしゃいますが、保証契約はあなたと大家さんの間の契約ですので、相続放棄とは関係がありません。その点にはご注意下さい。
なお、現在のお住まいについては、もしあなたを契約者とする賃貸借契約が締結できれば、このまま住み続けることは可能です。その際の手続き等はそれぞれ異なりますので、オーナー様や管理会社にお尋ねになって下さい。

 

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江頭 寛
福岡相続サポートセンター
代表取締役社長

生前対策から相続発生後の申告・納税に至るまで、皆様から寄せられる無料相談への対応や、希望する幸せな相続の実現に向けての対策立案と実行支援を、弁護士・税理士・司法書士・不動産鑑定士等の先生方をコーディネートしながら日々やらせて頂いてます。お客様にとってベストな相続並びに資産の有効活用を徹底的にサポートすることが私の最大の使命です。また、相続対策セミナーも全国各地で積極的に開催中。まずはお気軽にご相談ください。